【マーケティング 事例】
KPI120%達成。継続的に成長するためのマーケティング体制とは?

様々なマーケティング施策を遂行していると、各施策が点で考えられビジネスゴールとの相関性がなくなるという課題は少なくないと思います。今回は、ユーザーインサイトの分析から目的の共通化、計測可能なKPIの策定方法、そして再現性のあるマーケティング戦略と実行のサイクルを紹介します。
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Date2019年08月28日
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CategoryCase
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Tag#タッチポイント#データ#デジタルマーケティング#戦略・実行#調査・分析
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課題
若年層セグメントとのタッチポイントが少ない マーケティング戦略がしくみ化されていない
クライアントは、世界中で愛されるラグジュアリーコスメブランド。エイジングケアに定評があり40代・50代女性の支持を集めていますが、将来の優良顧客層であるミレニアム世代とのタッチポイントは充分ではありません。高い信頼と既存顧客基盤という資産へ新たな顧客層を取り込みつつ、中長期にわたるブランドリフトを継続するには、マーケティング戦略の再考が必要でした。
提案
私たちVENECTは、ミレニアム世代が手を伸ばしやすいファンデーションのプロモーションをフックにした認知ターゲット拡大、そしてブランドリフトのしくみ化を目指し、トータルなデジタルマーケティング戦略を提案しました。
新規顧客層の創造
まずはタッチポイントの少ないミレニアム世代をターゲットに、ユーザーインサイトを徹底分析。「ファンデーション」というアイテムに対する価値観が、ブランドと親和性の高いユーザー像を、具体的に描き出します。VENECT独自メソッドによるソーシャルリスニングで行動や意識の属性を明確にし、「ツヤ肌」「特別感」などの解決したいニーズをロジカルに分類していきました。
この事例では、ミレニアム世代ターゲットを3セグメントに分類し、彼女たちのファンデーション購買というジャーニーに沿った一連のストーリーを描き、UX設計に落とし込んでいきました。そして力のあるインフルエンサーと協業し、投稿や広告、LPOなど一連の具体的なプロモーションを展開します。
VENECTメソッドでは、各施策において、目的とターゲットに期待する行動や態度の変容(パーセプションチェンジ)を明示した計画を立てます。「認知」「関心」といったパーセプションチェンジを狙った施策、そして施策ごとの具体的なKPIを設け共有しておくことで、クライアントと私たちは、同じ言語を使ってブランドリフトという大きな目的へ迷わず進むことができました。
マーケティングのデジタルシフトと習慣化
クライアントの本質的な課題は、「マーケティングで何を達成するのか」という戦略のあいまいさにあると私たちは考えました。広告、オウンドメディア、店頭サンプリングといった施策が分断し、ブランド自体にどう貢献しうるか、本当に効果的なのかどうかが、施策担当者個々の経験と感覚に依存していることに気づいたのです。個別キャンペーン期間に限らずブランドの中長期にわたる継続的ゴールとして生活者に期待するパーセプションが明確でないと、日々どんなデータから何を読み取り反応すべきなのかという組織行動に一貫性がなくなります。トータルでみたROI低下、あるいはそもそもROIを把握できないリスクです。
そこで私たちとクライアントは、当面の施策であるミレニアム世代の新顧客層創造と並行して、既存顧客資産をコアにしたブランドリフトを目指し、マーケティング戦略を再考しました。提案したのは、プロモーション施策を点で捉えず、行動につながる線、そしてマルチチャネルを駆使した面、さらに時間軸を意識した立体的かつトータルな戦略を策定すること。デジタルマーケティングにおける私たちの知見を活用しつつ、途絶えることのない顧客創造とエンゲージメントのための継続的なコミュニケーションのありかたを描き出しました。
「見るべきKPI」を特定したうえ、マーケティングサイクルが組織習慣として根付くように、今回は、ユーザー行動を可視化するダッシュボードを構築。その過程で、段階的にCRMや外部サービスのデータをとりいれ、マーケティングのデジタルシフトを進めていきました。
成果
ディスプレイやネイティブ/タイアップ、リスティング等の広告、インフルエンサー施策、ランディングページ改善といったカスタマージャーニーに対する一連の施策を、ひとつのマーケティング戦略にもとづきトータルにデザインした結果、目標を大幅に上回る売上を達成。ランディングページは平均63%読了され、16%のコンバージョンレートを記録しました。
クライアントと私たちが、ともに継続的ブランドリフトというゴールと達成へ向けた持続可能な組織行動、行動を決定する要素に対して同じ認識をもてるようになり、このラグジュアリーコスメブランドには、ダッシュボードを見る習慣、数値に対する共通の価値観が育まれています。施策のための本質的なディスカッション、人間がなすべき仕事に集中する環境が整い、組織としてのマーケティング持久力が培われました。