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化粧品ブランドにおける実売上につなげるためのKPI設計手法

ビジネスゴールに紐づいたKPIを設計するには、商品が生活者の手元に届くところまでを考慮して設計する必要があります。化粧品業界の場合は、予測可能な在庫数をKPI設計に反映できていないケースが多く、商品が生活者の元に届かない事態が起こりえます。
そこで今回は、化粧品業界において実売上につながるKPIの、具体的な設計手法をご紹介します。

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KPI設計に問題のあるケース

カラー違いや香り違いなどSKUの多い商品を持つ業種においては、在庫数を踏まえたKPI設計が最も重要です。在庫数まで想定しておかなければ、売上につながるマーケティング活動に支障が出る可能性があります。
例えば化粧品ブランドでは、十分な在庫が確保できていないために、プロモーション時にすべての生活者が購入できるだけの商品在庫がないといった課題がよく起きます。
具体的には、普段から売れ筋のカラーやバリエーションについては十分に確保しているものの、KOL(※1)を活用して普段は人気ではないカラーやバリエーションをプロモーションしたとき、適切な在庫がなければ生活者の手元には届かず実売につながりません。
(※1)KOLとは、Key Opinion Leaderの略で、マーケティングにおいては特定の分野に専門性を持ったインフルエンサーのことを指します。
必要なときに適切な在庫がないという問題を避けるには、需要予測を行い、市場の状況を把握し、プロモーション計画もふまえてKPI設計を行います。その上で、商品在庫を適切に確保するため、サプライチェーン部署など他部署と連携していくことが必要となります。

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化粧品ブランドにおける具体的なKPIの設計方法を紹介

上記の課題を踏まえ、ここからは売上につなげるためのKPI設計方法について、化粧品ブランドを例に必要なステップをご紹介していきます。
なお、企業のビジネスゴールであるKGIに紐づいたKPI設計の概要については、以下の記事をぜひ参考にしてください
ビジネスゴールと相関性のあるKPIの設計方法とは?

1. データを収集する

売上につながるKPIを設計するためには、データに基づいた分析が不可欠です。まずは以下にご紹介するデータを収集しましょう。
<過去の実績データ>
例)ファンデーションやリップの色味など
・売れているSKUの構成比
・SKUごとの顧客の属性
・販売店ごと(オンライン含む)の顧客の属性
・季節要因によっての購買推移
<未来の予測データ>
・今後流行るトレンドカラー
・ライフスタイルの変化(情勢変化)
 例)新型コロナウイルスの影響で起きているマスク着用時間の長さや頻度など
・競合が行う施策や新商品発売情報など
分析のベースとなる過去のデータ、そしてこれから商品を売ろうとしている未来のデータを分析することで、どの属性の顧客がどんな色味や機能性の商品をどの時期に購入するのか、その予測を立てられるようになります。

2. データ収集の方法とは?

上記のデータの集め方は、既存商品と新商品の場合で違いがあります。
既存商品の場合は、過去のデータは自社ブランドで持っている実売データから、未来予測は、市場調査や競合調査データを参考にします。
新商品の場合は、実売データがないため、以下の方法でデータを取得していきます。
・競合他社の同一カテゴリや類似商品のレビュー分析
・自社調査(例:既存顧客へのアンケート)
・街頭調査
・市場調査
・競合調査
また、自社ブランドの過去商品の中からターゲットの近い商品をピックアップし、その実売データを参考にすることも可能です。
競合他社のレビュー分析に関しては、VENECTが提供している商品レビュー分析サービスがおすすめです。大手ECサイトから商品レビューを自動収集し、自社商品の強みや競合との比較を明らかにすることができます。
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3. 需要予測を行う

十分なデータが収集できれば、どの属性の顧客に、どのカラーや機能性の商品が、どの時期に人気が出るかの予測を導き出せるようになります。
予測を出したら、色味の違いなどの各SKUを人気順に並べ、商品全体に対する売上予測比率、売れる時期の予測を整理していきます。
ここで、マーケティング部が考えている施策の内容を反映していきます。KOLなどのキャンペーンによっては、普段より人気が出ることが想定されるため、その時期もあわせて整理していきます。施策内容、対象のSKU、リーチ数予測、販売予測などを併記するといいでしょう。

4. KGI/KPIを達成できる投資額の計算を行い、妥当性を問う

需要予測に基づき、KPIを設計していきます。
ここで重要となるのが、KPI、ひいてはKGIを達成するために必要な投資額を計算し妥当性を考慮することです。設計したKPIに対して妥当の予算を確保できない場合は、目標売上を修正していく必要があります。

5. 妥当性の高いマーケティング予算の算出

売上目標に対してのマーケティング予算は、以下のように算出していきます。
・売上目標が1億円の場合、3,000円の商品を1億円分売るためには3万個販売する必要がある
↓そのために
・店舗やECサイトなど各販売チャネルに30万人の送客が必要となる

・各販売チャネルへ30万人を送客するには、広告などの顧客接点において3,000万人にリーチする必要がある

3,000万人にリーチするためには、マーケティング予算が3,000万円必要となる
マーケティング活動にける予算を整理しにくい場合は、以下のチャートを参考にすることで、細かい数値の割り出しができるようになります。

6. 各SKUの売上比率に個数を当てはめる

KPI、KGIに対するマーケティング予算の妥当性を確認できたら、次は目標となるKPIの数値を需要予測で出した各SKU、あるいは各商品の比率に当てはめていきましょう。
上記では3,000円の商品を3万個売ることで1億円の売上を達成すると想定しました。例えば、以下のように個数を振り分けていきます。
・Aカラー(想定売上比率 50%):15,000個
・Bカラー(想定売上比率 30%):9,000個
・Cカラー(想定売上比率 10%):3,000個
・Dカラー(想定売上比率 5%):1,500個
・Eカラー(想定売上比率 5%):1,500個
ここまで出せたら各商品、各SKUの想定在庫を抽出できるため、サプライチェーン部署などと協力しながら必要な時期に適切な在庫数が確保されている状態を作っていきます。そうすることで、消費者は欲しいと思ったときに商品を買うことができ、実売につながり、顧客満足度の向上にもつながります。

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最後に

化粧品ブランドによくある「必要なときに適切な在庫がなく売上につなげられない」という課題は、想定在庫も含めたKPIを設計することで解決できる可能性があります。KGIにつながるKPIを設計するには、商品にまつわる過去データと未来のデータを集め、分析します。需要予測を行い、マーケティング予算の妥当性を確認できれば、各SKUに個数を割り当てて想定在庫を導き出していきます。そうすることで、実売につながるKPI設計ができるようになります。
VENECTでは、ブランドのビジネスが成長することを重視し、マーケティング活動の支援を行っています。実売に紐づくようなKPI設計についても、ブランドと並行して分析や設計の支援が可能です。ぜひ以下のお問い合わせよりご連絡ください。