リテールメディアの仕組みと成功事例、 取り組むメリットを徹底解説!

小売業によるECサイトやアプリなどの活用が増えたことで、注目を集めているのが「リテールメディア」です。リテールメディアとは小売業者が運営する媒体(メディア)のことで、販売データをもとにしたタイムリーかつ効果的な広告配信が可能だとされています。本記事では、リテールメディアの仕組みやメリット、成功事例などをまとめてご紹介します。リテールメディアを活用して事業拡大を図りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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Date2023年08月07日
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CategoryKnowledge
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Tag#planning#オウンドメディア#オムニチャネル#コミュニケーション戦略
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リテールメディアとは
リテールメディアとは具体的に何なのか、まずは以下2つのポイントで解説します。
・リテールメディアの仕組み
・リテールメディアの成功事例
順番に見ていきましょう。
リテールメディアの仕組み
リテールメディアとは、ECサイトやアプリ、店頭に設置したデジタルサイネージなど、小売業者が保有する媒体(メディア)のことです。リテールメディアへの広告出稿には、小売業者が持つ詳細な顧客データをそのままターゲティングに活用できるという強みがあります。店舗での購入履歴やアプリに登録された情報など、小売業者独自のデータから顧客の属性やニーズを分析し、メーカーがターゲットとするユーザーに対して広告を配信できるのです。小売業者とメーカーが協力することで、リテールメディアを活用した販売施策・マーケティング施策の最適化が可能となります。
リテールメディアの成功事例
リテールメディアの代表的な成功事例が、ECショッピングモールの大手「Amazon」の広告事業です。Amazonは世界で3億人以上が利用する大規模ECサイトで、その巨大なプラットフォームと購買データを広告事業に活かしています。Amazon広告の事業規模は、Googleが運営するYouTube広告を上回るほどになっており、今やAmazonの収益を支える主要事業の1つです。Amazon広告ではECサイト内への広告表示はもちろん、外部サイトに広告を配信する仕組みも用意されており、幅広くターゲットユーザーにアプローチできるのが特徴です。日本企業によるリテールメディアの事例としては、マツキヨココカラ&カンパニーやファミリーマート、サンドラッグの取り組みが挙げられます。ドラッグストアを運営するマツキヨココカラ&カンパニーでは、購買履歴からターゲットを絞ったうえで広告配信の対象商品や時間帯などを工夫し、リテールメディアにおける広告効果を高めています。ファミリーマートはドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスと協力し、大規模で効果的な広告配信基盤を構築すると発表しました。また、ドラッグストアを運営するサンドラッグも、自社の公式通販サイトに広告配信機能を導入し、購買データを活用した効果的な広告配信を可能にすると発表しています。
リテールメディアが注目されている背景
リテールメディアが注目されるようになった背景として、以下の3点が挙げられます。
・プライバシー保護の強化
・オンラインショッピングの浸透
・小売業のデジタル化
プライバシー保護の強化
サードパーティークッキー(3rd Party Cookie)の廃止に代表されるように、インターネットにおけるプライバシー保護の強化が進んでいます。その結果、個人情報や閲覧履歴といったデータの取得や、それらをもとにした広告の最適化が困難になりました。そして、解決策の1つとして小売業者が持つ1次情報をそのまま活用できるリテールメディアが注目されるようになったのです。
オンラインショッピングの浸透
商品を購入する際、店舗ではなくECサイトやアプリを通じた「オンラインショッピング」が広く利用されるようになりました。新型コロナウイルス感染症の流行で外出が困難になったことも後押しとなっています。その結果、小売業者が運営するECサイトやアプリの利用者が増え、広告配信先としての魅力が増しています。
関連記事:「EC事業を徹底解説!市場規模やEC事業を始めるメリットとは?」
小売業のデジタル化
小売業界全体のデジタル化により、顧客情報や売上情報などの詳細なデータが管理されるようになりました。売上に直結するデータの蓄積や共有が可能になったことで、自社で活用するだけでなく他社と共有する動きも見られるようになったのです。顧客データ・販売データの有効な活用先として、リテールメディアを使ったマーケティング施策が注目を集めています。
リテールメディアがもたらすメリット
リテールメディアがもたらすメリットについて、ここではメーカー・小売業・消費者という3者それぞれの視点で見ていきましょう。
メーカーにとってのメリット
メーカーにとってのメリットは、以下の3点が挙げられます。
・販売データにもとづく効果的な広告配信ができる
・ブランドの露出機会が増える
・効果検証がしやすい
まず、サードパーティークッキーの利用が難しくなるなか、小売業者が持つ販売データにもとづいた効果的な広告配信が可能な点は大きなメリットです。また、利用者の多いECサイトやアプリに広告を配信することで、ブランドの露出機会も増えるでしょう。さらに、販売プラットフォームに直接広告を配信するため、効果検証しやすい点もメリットといえます。
小売業にとってのメリット
小売業にとっても、リテールメディアの活用は以下のようなメリットをもたらします。
・メーカーと協力して販売促進の効果を高められる
・広告収入が新たな収益源となる
・アプリやデジタルサイネージなど自社資産の活用が促進される
自社データをもとにメーカーと密に協力することで、販売促進の効果を高められます。さらに、広告収入が新たな収益源となることも見逃せません。自社のECサイトやアプリに大きなトラフィックを集められれば、取引先のメーカーにとって魅力的な広告配信先になるでしょう。また、アプリやデジタルサイネージといった自社資産を有効活用できること自体も大きなメリットです。
消費者にとってのメリット
リテールメディアではユーザー情報や購入履歴などをもとに広告を配信するため、消費者にとっても「自分のニーズに合う広告だけが表示される」というメリットがあります。興味のない広告に邪魔されることなく、快適なショッピングが可能になります。
リテールメディアの成功に欠かせない要素
ここでは、リテールメディアの成功に欠かせない要素として以下の3点をご紹介します。
・集客力のあるメディア
・メーカーと小売業の連携
・購入までの導線設計
集客力のあるメディア
ECサイトやアプリに広告を配信しても、そのメディア自体の利用者が少なければ広告配信の効果は期待できません。各メーカーにとっても、広告予算を投下する価値を感じにくいでしょう。広告配信の効果が見込めるようにターゲットとなる顧客層に対して一定の集客力を持つメディアであることが前提となります。
メーカーと小売業の連携
リテールメディアでは、メーカーと小売業の連携が欠かせません。小売業が自社の販売データを共有し、それをもとにメーカーが広告クリエイティブを作成することで、販売促進施策の最適化が可能になるからです。常に最新の情報を共有しながらメーカー・小売業が連携することで、市場の変化に合わせたスピーディーな対応が可能となります。
購入までの導線設計
広告配信の目的は商品を購入してもらうことです。そのため、広告に興味を持ったユーザーがスムーズに商品を購入するための導線設計が重要になります。購入に手間がかかるようであれば、面倒に感じたユーザーはサイトやアプリから離脱してしまうでしょう。近年では、ユーザーの利便性を高める取り組みとして、オンラインで購入した商品を店舗で受け取る「BIPOS(Buy Online Pick-up In Store)」といった手法も注目されています。快適なショッピング体験の提供は、リテールメディアを活用するうえでも欠かせません。
関連記事:「店舗商品の新しい購入方法!消費者のニーズに答えるBOPISとは?」
最後に
マーケティングの戦略立案〜実行支援まで一気通貫で行うVENECTでは、変化を続ける生活者の生活様式に合わせたマーケティング支援を行い、顧客体験を設計することが可能です。 以下のお問い合わせフォームよりご連絡ください。