B2Cビジネスのマーケティング組織に求められるものとは? 組織作りのパターンも紹介

B2Cビジネスにおけるマーケティング戦略の効果を高めるには、ただマーケティング担当の組織を設置するだけでは十分とはいえません。効果的な施策を迅速に実施するためには、関連部署との連携や経営層からの指示系統の整理が不可欠です。 本記事では、B2Cビジネスのマーケティング組織に求められる5つの要素や、組織作りのパターンをご紹介します。B2Cビジネスに適したマーケティング組織の構築に課題を感じている経営者・企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
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Date2023年09月20日
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CategoryKnowledge
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Tag#ストラテジー#ナレッジ#マーケティング#マーケティング戦略立案#マネジメント
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B2Cマーケティングの特徴
まずは、B2Cビジネスにおけるマーケティングの特徴をB2Bビジネスと比較しながら見ていきましょう。
B2Cマーケティングとは
そもそもB2Cとは、「Business to Consumer」の略であり、企業が生活者に対して商品やサービスを販売するビジネスを指します。そして、B2Cビジネスにおけるマーケティングは、生活者に商品やサービスが売れる状態にするための仕組みづくりを指します。
狙ったターゲット層に対して商品やサービスの魅力を的確に伝えることで、生活者の「購入したい」「契約したい」という気持ちを高めるのがマーケティングの役割です。しかし、広告や販売促進だけでなく、事前の市場調査やブランド戦略など、マーケティング組織の活動は多岐にわたります。事業の成否を左右するきわめて重要な組織だといえるでしょう。
関連記事:「マーケティングを徹底解説 重要性や成功させる方法を理解しよう」
B2Bマーケティングとの違い
B2Cとよく比較される言葉として、B2B(Business to Business)があります。B2Bビジネスでは、企業が企業に対して商品・サービスを提供します。例えば、オフィス機器のメーカーやコンサルティング企業などが挙げられるでしょう。B2CマーケティングとB2Bマーケティングでは、以下のような違いがあります。
・ターゲットの幅広さ
・購入予算
・意思決定の手順
・トレンドの変化の速さ
B2Cマーケティングでは、B2Bと比較して対象となるターゲットが幅広い一方、購入者が個人であるため予算は限られています。また、B2Bでは企業として合理的な判断が下される一方、生活者による購入の判断は衝動的に下されるものが少なくありません。
さらに、トレンドの変化の速さも特徴の1つでしょう。B2Cビジネスの商品・サービスは生活者が個人として購入するものであるため、テレビやSNSで話題になった際にトレンドが生まれやすいという特徴があります。B2Bマーケティングとの違いを押さえたうえで、効果的な施策を投下していくことが大切です。
B2Cビジネスのマーケティング組織に求められるもの
B2Cビジネスの特徴を踏まえ、マーケティング組織に求められるものとしては以下5つの要素が挙げられます。
・有用な顧客データの収集
・オンラインへの対応
・関連部署との密な連携
・迅速な意思決定
・インハウスとアウトソースの使い分け
現代のマーケットで勝ち残るためには、いずれも欠かせないポイントです。順番に詳しく見ていきましょう。
有用な顧客データの収集
精度の高いマーケティング戦略を策定するには、有用な顧客データに基づくSTP分析が欠かせません。
STP分析とは、Segmentation(セグメンテーション:市場の細分化)、Targeting(ターゲティング:狙う市場の決定)、Positioning(ポジショニング:立ち位置の明確化)の頭文字を取ったもので、市場分析の手法の1つです。他社との差別化やユーザーニーズの把握には、市場を細分化したうえで狙うべきターゲットを定め、自社の立ち位置を明確化していくことが求められます。
STP分析はマーケティング戦略立案の第1歩といえるでしょう。
関連記事:「STP分析とは?マーケティング戦略に役立つフレームワーク」
そして、STP分析の精度を高めるためには、インターネット上にある一般的な情報だけでは十分とはいえません。ターゲット顧客や競合他社の状況を詳しく把握するため、自社や競合他社を対象としたマーケット調査が必要になるでしょう。
VENECTではブランド認知度調査も行っていますので、まだ有用な顧客データをお持ちでない場合は、ページ下のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
オンラインへの対応
現代のB2Cマーケティングでは、オンラインでの販売や宣伝にいかに取り組むかも重要なポイントです。インターネットショッピングやSNSが普及したことで、生活者による情報収集の方法や購入ブランドの決定方法は変わってきています。具体的には、店舗ではなくオンラインで購入したり、事前にSNSで口コミをチェックしたりといった変化が挙げられます。ターゲットが幅広いB2Cビジネスだからこそ、オンラインでの拡散による宣伝効果が発揮されやすく、短期間で爆発的な売上につながることも珍しくありません。販売経路としても、実店舗とEC販売をいかに使い分けるかが重要性を増しているといえます。
関連記事:「ECビジネスで成功する方法とは?オムニチャネルが鍵!」
関連部署との密な連携
マーケティングの専門部隊だけがマーケティングに取り組んでいても、大きな効果は得られません。営業やCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)などを担う関連部署はもちろん、会社全体としてマーケティングに取り組んでいく姿勢が求められます。商品が継続的に売れ続けるためには、バリューチェーンの整備が重要です。
バリューチェーンとは、企業における各活動を一連の流れとし、それぞれの活動で生み出される付加価値を捉える考え方です。バリューチェーンの考え方をもとに、原材料の購買から製造、物流、サービス、お客様対応まで、一貫したブランドコンセプトで事業を構築しなければユニークなポジショニングは築けません。そのため、マーケティング組織には関連部署との密な連携が求められるのです。
迅速な意思決定
B2Cビジネスはトレンドの変化が早いため、得られたデータをもとに迅速に方向性を決め、アクションを起こしていく必要があります。SNSでトレンドを発見したとしても、アクションに時間がかかればチャンスを逃すことになりかねません。機会損失だけで済めばまだよいものの、最悪の場合過剰な在庫を抱える事態になります。そのため、調査や分析をもとに迅速な意思決定が可能な組織にしておくことが大切です。場合によっては、後述する「経営層直轄型」の組織にすることで確認プロセスを短縮するのも1つの手です。
インハウスとアウトソースの使い分け
マーケティングには調査や戦略立案、施策の準備などさまざまな業務が含まれます。社内でインハウスで対応するものと、社外にアウトソースするものをうまく分けることが大切だといえるでしょう。コストを抑えるためにすべて社内で取り組んだとしても、知見やリソースの不足によって効果が出なければ意味がありません。マーケティングの業務は多岐にわたるため、人材の育成にも時間がかかります。特にマーケティング組織の立ち上げ初期であれば、市場に関する調査は外部に委託するといった使い分けが求められます。
B2Cビジネスにおけるマーケティング組織のパターン
B2Cビジネスにおけるマーケティング組織としては、以下3つのパターンが考えられます。
・独立型
・部門別型
・経営層直轄型
それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、自社に合った組織を選択することが大切です。
独立型
「独立型」は、マーケティング部門として営業や人事、経理などの部門と並列に配置する形をとります。メリットとしては、マーケティングの知見が部署内に溜まりやすいことや、会社全体として一貫した取り組みがしやすいこと、マーケティング部門として予算を管理できることなどが挙げられます。一方、各事業部と目標や予算管理が異なるため、連携が難しくなる場合がある点はデメリットです。
部門別型
「部門別型」は、事業部ごとにマーケティングチームを設置する形です。例えば、化粧品部門のマーケティングチーム、サプリメント部門のマーケティングチームといったように分かれます。
メリットとしては、各事業部の目標達成に向けてコミットしやすいことが挙げられます。一方デメリットとしては、会社全体としてマーケティングの知見が溜まりにくいことや、会社として一貫性のあるマーケティング施策の実行が難しいことなどが挙げられるでしょう。部門ごとにスピーディーな活動が可能な一方で、全体の整合性をどう取るかが課題になります。
経営層直轄型
「経営層直轄型」は、その名の通り社長や経営層直轄の組織として運営する形です。メリットは、経営トップの意向をマーケティング施策に迅速に反映できることです。一方、デメリットとしては各事業部の末端の動きが掴みにくくなることが挙げられます。トップダウンで迅速にアクションを起こしていきたい企業に合ったマーケティング組織だといえるでしょう。
最後に
マーケティングの戦略立案〜実行支援まで一気通貫で行うVENECTでは、変化を続ける生活者の生活様式に合わせたマーケティング支援を行い、顧客体験を設計することが可能です。 以下のお問い合わせフォームよりご連絡ください。