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在庫量を解説!
適正在庫の計算方法や維持する方法とは?

この記事でわかること
  • 適正在庫の意味
  • 適正在庫の維持が重要な理由
  • 適正在庫と安全在庫の違い
  • 適正在庫の基本・在庫回転率・交差比率による計算方法
  • 適正在庫を維持するための3つのポイント

読了目安:7分

キャッシュフローを最適化させるためには「適正在庫」を維持することが重要です。在庫量が少なすぎると販売機会の損失に繋がり、多すぎると管理コストがかかります。
この記事では、在庫量の管理に課題を感じている方に向けて、適正在庫について解説します。適正在庫の計算方法や維持するポイントをご紹介するので、適正在庫を見直したい方はぜひご一読ください。

目次

適正在庫とは?

欠品を出さず過剰在庫にならない、最小限の在庫量のことを「適正在庫」といいます。これは、販売機会を損失せず、管理コストや廃棄などの処分も最小限に抑えられる在庫量です。

在庫が少なすぎると欠品が出て販売機会を損失してしまいます。一方、在庫が多すぎると管理コストがかかったり、期限がある商品は値引きや廃棄処分になったりする場合があります。

適正在庫の維持が重要な理由

適正在庫を維持できないと、売上が減って経費や損失が増えるため、キャッシュフローを悪化させる可能性があります。たとえば欠品が出た場合、販売機会を損失するため、売上が下がります。また、お客様の購買意欲を低下させ、店への信頼も失ってしまうでしょう。さらに、他店で同じ商品があった場合、お客様は他店のリピーターになってしまい来店しなくなる可能性もあります。

一方で、在庫を抱えすぎると管理コストが高まったり、値引きや廃棄が出たりなどで経費や損失が増えてしまいます。適正在庫を維持できれば、売上の損失を防ぎ、経費や損失を抑えられるため、キャッシュフローが最適化されます。

適正在庫と安全在庫の違い

安全在庫とは、欠品を防ぐために在庫量の下限を決める考え方で、適正在庫も安全在庫も、欠品を防ぐために在庫量の下限を決める点は同じです。適正在庫は過剰在庫を防ぐために在庫量の上限を決めますが、安全在庫は欠品を防ぐことが目的のため、上限は決めません。上限の有無が適正在庫と安全在庫の違いです。在庫量の管理は利益の創出が目的なので、適正在庫を設定しましょう。

適正在庫の計算方法

適正在庫の計算方法は3つです。基本的な計算方法に加えて、在庫回転率による計算方法と交差比率による計算方法があります。

基本的な計算方法

適正在庫の基本的な計算方法は「安全在庫+サイクル在庫」です。安全在庫とは、欠品を出さないために維持する最小限の在庫量です。通常の在庫に加え、需要やリードタイムの変化、急な発注に対応できる在庫量のことをいいます。安全在庫の計算式は以下のとおりです。

安全在庫=安全係数(一般的に1.65)×使用量の標準偏差×√(発注リードタイム+発注間隔)

安全係数とは、許容できる欠品を表す数値です。一般的に欠品許容率5%の1.65が使われます。使用量の標準偏差は、過去の販売量の平均値です。発注から納品されるまでの日数を発注リードタイムといいます。次に発注するまでの日数が発注間隔です。一方で、サイクル在庫は発注から次の発注までの間に売れた量の半分を表します。30日に1度発注するなら、15日目までに売れた量がサイクル在庫です。この安全在庫とサイクル在庫を足すことで、適正在庫数がわかります。

在庫回転率による計算方法

在庫回転率と在庫回転期間を計算すると、適正在庫を保てているかがわかります。それぞれ以下の式で計算されます。

在庫回転率=年間売上÷平均在庫高
在庫回転期間=棚卸資産合計÷年間売上高

在庫回転率とは、一定の期間で在庫が入れ替わった回数を表す数値です。年間売上が1000万円で平均在庫高が500万円の場合、年に2回在庫が入れ替わっています。在庫回転期間は、商品を仕入れてから販売するまでの期間のことです。棚卸資産の合計が500万円で年間売上高が1000万円の場合、半年で在庫が入れ替わっていることになります。在庫回転率が大きく、在庫回転期間が小さいほど、適正在庫に近づきます。

交差比率による計算方法

交差比率を用いることで適正在庫金額がわかります。交差比率とは、在庫がどれだけ利益を生んでいるかを見る指標です。以下の式で計算されます。

交差比率=在庫回転率×粗利益率

在庫回転率が5で粗利益率が25%なら、交差比率は125です。交差比率が高い方が、効率良く利益を生んでいる商品といえます。さらに、以下の計算を行うことで、適正在庫金額がわかります。

交差比率÷粗利益率=目標回転率
目標売上÷目標回転率=適正在庫金額

適正在庫金額に近づくように仕入れることが大切です。

適正在庫を維持するためのポイント

適正在庫を維持するための3つのポイントを解説します。発注方法の見直し、製造リードタイムの短縮、需要予測を立てることが有効です。

発注方法を見直す

適正在庫を維持するために、発注方法を見直してみましょう。発注方法には「定量発注方式」と「定期発注方式」があります。定量発注方式は、決めた在庫量を下回ったときに一定数を発注する方法です。発注するタイミングと発注量が決まっているため、在庫管理や発注業務にかかる経費を削減できます。そのため、需要と供給量の変化が少ない商品に向いています。定期発注方式は「毎月◯日」「毎週◯曜日」など、一定の期間で発注する方法です。発注タイミングを考える手間は省略できる一方で、発注数はその都度決める必要があります。そのため、需要と供給量の変化が大きい商品に向いています。どちらの方式が良いのか、商品の性質や販売方法などを考えて検討しましょう。

製造リードタイムを短くする

製造リードタイムとは、原材料を製造工程に入れてから出荷するまでにかかる時間のことです。製造リードタイムが長いほど、管理する在庫量が増えてしまいます。製造リードタイムを短くできれば、発注から入荷までの時間を短縮できるため、管理する在庫量を削減できます。製造リードタイム以外にも、物流リードタイムや部品などを調達する調達リードタイムなどがあります。しかし、他社が絡むリードタイムを短縮するのは困難です。自社で製造を行っている場合は、製造リードタイムを短くできないか検討しましょう。

需要予測を立てる

需要予測を立てて、最適な仕入れを行いましょう。BtoBの場合は、取引先に「どのくらいの発注を予定しているか」を聞くことで、正確な予測を立てやすくなります。BtoCの場合は、一般の消費者に注文予定を確認することは困難です。そのため、データを参照するのがおすすめです。季節によって販売数が大きく変動する商品は、前年の同じ時期の販売数から予測しましょう。季節による変動が少ない商品は、過去数ヶ月の平均販売数が参考になります。

最後に

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