- この記事でわかること
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- クライアントが実際に陥った課題
- お菓子ブランドのマーケティング提案・成果
読了目安:6分
課題
アピールすべき潜在市場の姿を描けない マーケティングPDCAに必要なデータが不足している
クライアントは、世界中で愛されるヨーロッパ発祥のお菓子ブランド。要求の厳しい日本市場にあって、極上の基本レシピと季節感あふれるラインナップで既存顧客のハートをしっかりつかんできました。でも、まだ出逢っていない未来のお客さまがどこにいるのか、市場の姿を描き出していません。また、オンラインと店舗で施策が途切れていて、ブランド総体としてのコミュニケーションプランが確立していなかったのです。マーケティングPDCAサイクルに必要なデータの選びかたや収集・活用方法が定まっていなかった結果、クリエイティブも「定番」に頼りがちでした。
提案
私たちVENECTは、既存のお客さまのエンゲージメントを深めつつ潜在市場へアプローチするため、オンラインとオフライン店舗をつないだブランドリフト戦略、そしてその基盤としての総合的なデータ活用サイクルを提案しました。
PDCAで育むコミュニケーションプラン
まずは潜在市場の姿を描き出すため、徹底的にターゲット層のインサイトをリサーチ。VENECT独自のソーシャルリスニングメソッドで、細やかにスイーツ市場のニーズを分析していきました。もちろん、競合商品のマーケティング施策にも目を配ります。リサーチの結果見えてきた「幸せを感じたい」「誰かを喜ばせたい」といったスイーツに求める機能をもとにセグメンテーションを行い、それぞれのニーズとパーセプションフローに応えるコミュニケーションプランを設計しました。
まずは仮説に基づき、サマーキャンペーンで各セグメントに響くクリエイティブを展開。外部媒体とオウンドメディアLP、店舗における年代別や性別ユーザーの反応から、これまでリーチできていなかったセグメントのうち、未来の主要ターゲットになりうる若年層へのアプローチ強化が欠かせないことを確認しました。そしてクリスマスという商機に向けて私たちが提案したのは、この層の関心を惹く、オンライン・オフライン両方のチャネルを連動させたブランド体験キャンペーンです。
オウンドメディアでは、LPのアドベントカレンダーを通じ、毎日若年層やシングルのクリスマスにも寄り添って幸せな時間をもたらすストーリー、そして従来から展開してきたファミリークリスマス向けのストーリーを届け、ブランドの世界観に共感してもらいます。LPには店舗での特別サービス用の合言葉を仕込んでオフラインでも楽しんでいただき、購買者向けハッシュタグキャンペーンでさらにコミュニケーションをつなぎます。LPへの導線はターゲットインサイトに基づいてSNS等を活用し、日々反応を見ながら出稿バランスやコンテンツをチューニングしていきました。
サマーキャンペーンの詳細な検証から得た、華やかな色彩や味覚のイメージしやすさといった響くクリエイティブ要素、メニューや店舗検索など反応率が高いコンテンツについての学びを、クライアントと私たちはデータで共有しながらマーケティングPDCAを回し、ブレることなくコミュニケーションプランを育んでいきました。
データ活用サイクルを定型化
コンサルティングと実際のマーケティング支援を通じ、中長期的に見たクライアントの課題は、「データ」の扱いかたにあると私たちは考えました。収集・把握していたデータは、クリエイティブ単位でのクリック率など大まかなユーザー行動だけ。とくに潜在市場開拓へ向けたセグメントごとのアプローチ手段やチャネル施策など、より細やかで具体的な施策に落とし込むには情報不足です。キャンペーン以外の期間に何を観測しどう行動すべきかも、定まりません。
そこで私たちは、男女別、年代別といったデモグラフィック属性、コミュニケーションチャネルや地域、そして時刻や曜日などの要素と組み合わせた分析が行えるように、データ活用サイクルの見直しを提案。VENECTメソッドを使って収集すべき内外のデータとレポート、数値の扱いかたを定型化し、オンライン・オフラインのKGIとKPIも再設計しました。
データ選定とレポートフォーマットのポイントは、次回以降の施策へ活かせるかどうか。沢山あればいいというわけでもありません。必要十分で意味のある数値、正確な数値を共有し、日々改善を重ねる環境を整えたスイーツブランドではいま、データ活用サイクルが組織習慣として定着しています。
成果
オンラインとオフライン、外部メディアとオウンドメディアを組み合わせた総合的なデジタルマーケティングの結果、スイーツブランドの売上は対前年比大幅アップを達成。キャンペーン期間中に実店舗の来店客数が増えただけでなく、Webショップカードや合言葉で店舗スタッフがデジタル導線を確認できる設計によって、デジタルマーケティングの成果を全社で共有しています。「デジタル広告を見てきました!」というダイレクトなお客さまのコメントは店舗スタッフにとっても励みになり、ブランドコミュニケーションに一体感が生まれたといいます。
既存顧客と潜在顧客それぞれ、お客さま属性やパーセプションフロー、チャネル、実施タイミングごとにクリエイティブやコミュニケーションの効果を検証できるようデータ活用サイクルを見直したいまは「このSNSは予想に反して男性のクリック率が高く、EC誘客に有効」といったインサイトが得られるため、次に講じる施策もより具体的になりました。データに基づくPDCAサイクルは、既存顧客エンゲージメントと潜在顧客へのアプローチ双方の基盤として、今日もスイーツブランドのマーケティングを支えています。
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