近年、ECを含めて家電を販売するためのチャネルが増えるのと同時に、消費者の購買行動も多様化が進んでいます。一方、家電販売を行う際、まだ従来通りの方法でKPIの設計を行っている企業も多いのではないでしょうか。 今回は、現在のマーケット状況に合わせた各販売チャネルのKPI設計、マーケティング投資額の決定をどのように行えばよいか、詳しくご紹介します。
- この記事でわかること
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- ここの販売チャネル開設にあたって起こる課題
- 家電メーカーのための具体的なKPI設計方法
読了目安:6分
個々の販売チャネルに最適なKPI設計ができているか?
はじめに、個々の販売チャネルに合わせたKPIを設計するうえで、前提となるポイントをお伝えします。
例えば、店頭やECモールなどの各販売チャネルで必要なときに在庫が不足してしまう、ECモールでの販売施策がうまくいかない、などの課題を抱えているメーカーの方も多いのではないでしょうか?
こうした課題の原因はさまざま考えられますが、その一つの要因として、個々の販売チャネルに合った販売数と、売上に最適なKPIの設計ができていないことが挙げられます。
近年の家電業界ではEC化率が高くなりつつあり、それに伴いショールーミングなどが重視される傾向にあります。そのため各販売チャネルを通して何がどのくらい売れるのか、それぞれ必要な投資額はどれくらいなのか、その2つの要素の相関性を踏まえたうえで、KPIの設計をする必要があります。
家電メーカーのためのKPI設計方法
なお、企業のビジネスゴールであるKGIに紐づいたKPI設計の概要については、以下の記事をぜひ参考にしてください。
参考URL:「KPIとは?KGIとの違いや設定する方法を正しく理解しよう」
上記の記事内でご紹介している基本を踏まえたうえで、家電メーカーで必要とされるKPIの設計方法を具体的に解説します。
STEP1: 過去の実売データにおけるKGI/KPIを整理する
KPI設計をする際は、各販売チャネルにおける過去の実売データを活用します。実績値をもとに、まずはチャネルごとの販売数を整理しましょう。以下に、整理の仕方の例を挙げます。
例)商品をドライヤーとして想定した場合
こうして過去の実売データを整理すると、各チャネルの在庫や購入属性の割合がクリアになります。ただこの割合はあくまでも過去のものなので、整理した情報をもとに、今期の目標に沿って、施策を考えていきましょう。
例えば前期の目標売上が8億円、今期が10億円である場合、差分となる2億円を埋めるにはどのチャネルで販売数を増やしていく必要があるかを考え、新たな施策を打つ必要があります。
STEP2:各チャネルごとの販売推移を分析する
次に、過去の実売データを元に販売推移の分析を行います。各チャネル内で必ず抑えるべきポイントは以下の3点です。
- 売上・販売数の増減に、時期的な要因があったか
- チャネル内で特別なイベントが実施されたか(例:Paypay祭り、楽天スーパーセールなど)
- ブランドによる投資があり、キャンペーンを行ったか
この3点を把握したうえで、ブランドの現状が、以下どちらのケースに当てはまるか見ていきましょう。
CASE1:過去の売上推移の幅がなく、右肩上がりで伸び続けている場合
この場合は、市場や競合の調査を行い、いつまで売上が右肩上がりで伸びていくのかを予測しましょう。
CASE2:過去の売上推移の幅があり、売上が増減している場合
この場合は、過去3年分の購買データを分析し、比較を行います。そして売上が増加している時期、減少している時期の要因を探ります。
分析結果から、目標達成のために必要なことと改善点を洗い出し、優先順位を決めていきましょう。
過去の実売データを遡ると、「なぜその商品が売れているのか」を改めて把握することができます。そうした情報をもとに成功要因を推測し、次の施策に反映していきましょう。
上記のように各チャネルの販売推移を明確にした後、その数字を踏まえたうえで、今期の目標を達成するために必要な売上を埋めることができるのかどうか、データを根拠に判断していきます。
「十分に売上が立つ」と見込みが立てられた後は、各販売チャネルにきちんと在庫を確保しておきます。逆に競合やECモール内で行われるキャンペーン状況なども踏まえ、売上の達成が難しくなると想定される場合は、対策も考えておく必要があります。
STEP3:分析と予測をもとに、マーケティング投資額を決定
販売推移の実績把握と将来予測を行ったうえで、最後に、目標売上に対するマーケティング投資額を決めていきます。具体的な考え方は以下の通りです。
例)売上10億円が目標な場合→必要なマーケティング予算は3億円
・10億円の売上を上げるためには、3万円の商品を3,000個販売する必要がある
・3万円の商品を3,000個販売するには、各チャネルに60万人の送客が必要
・各チャネルへ送客するためには、それぞれ60万人ずつ広告接触をする必要がある
・60万人に広告でリーチするためには、マーケティング予算が3億円は必要
※ 市場を踏まえた分析結果から上記以外に予算を算出する必要がある場合もある。
また既存顧客やリピート購入した人へのアプローチについても、予算配分を考えていきましょう。
最後に
今回は簡単にフローをご説明しましたが、家電販売における適切なKPIを設計するためには、自部署の手元にあるデータだけではなく、他部署で管理されている過去データも総合的に把握し、しっかりと分析を行う必要があります。実際に多部署を横断して必要なデータを得たり、情報連携をしていくには非常に労力がかかることです。
VENECTでは、お客さまのビジネスを成長させるため、社内の各部署をつなぎ横断的な情報を得て、それを踏まえて適切な連携をしていくための支援をしています。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
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