トータルエクスペリエンスは顧客体験や従業員の働きやすさなど、4つの要素をリンクさせて企業の成長を目指す取り組みのことです。この記事では、DXを推進するうえで理解しておきたいトータルエクスペリエンスについて詳しく解説します。
- この記事でわかること
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- トータルエクスペリエンスの概要
- トータルエクスペリエンスを構成する4つの要素
- DXでトータルエクスペリエンスを向上させるためのポイント
読了目安:7分
トータルエクスペリエンス(TX)は、企業の成長や競争力強化のために欠かせない取り組みです。DXを推進するうえでも重要な考え方のため、トータルエクスペリエンスを構成する4つの要素について理解しておきましょう。本記事では、トータルエクスペリエンスの構成要素や注目されている理由、DXに取り組むうえで意識すべきポイントをご紹介します。
DXで意識すべきトータルエクスペリエンス(TX)とは
DXの推進に取り組む際には、トータルエクスペリエンスを意識することが大切です。はじめに、トータルエクスペリエンスの概要と注目されている理由、期待される効果について見ていきましょう。
トータルエクスペリエンス(TX)とは
トータルエクスペリエンスとは、次の4つのエクスペリエンスをリンクさせながらビジネスの成長を目指す取り組みのことです。
- ユーザーエクスペリエンス(UX)
- カスタマーエクスペリエンス(CX)
- エンプロイーエクスペリエンス(EX)
- マルチエクスペリエンス(MX)
「従業員が働きやすい環境を整えると、顧客への対応品質が上がる」など、上記の4つはそれぞれに影響を与える関係になっています。そのため、どれか1つに注力するのではなく、4つをリンクさせて全体的な価値の向上を目指すのがトータルエクスペリエンスの考え方です。
注目されている理由
トータルエクスペリエンスが注目されている理由の1つが、新型コロナウイルス感染症の蔓延をきっかけとして対面によるコミュニケーションの機会が減ったことです。対面での提案やサポートが難しくなったため、企業と顧客の関係を維持することが難しくなりました。顧客との接点が減るなかで良好な関係を維持するには、これまでよりもさらに高品質なサービスを提供しなければなりません。そこで、顧客や従業員の体験を向上させて競争力を高めるトータルエクスペリエンスが注目されるようになりました。
期待される効果
トータルエクスペリエンスには、次のような効果が期待されています。
- 商品やサービスの品質向上
- 企業の成長
- 企業イメージの改善
- 離職率の低下
- 生産性の向上
トータルエクスペリエンスでは、顧客だけでなく従業員の体験向上にも力を入れます。従業員が働きやすい環境を整えることで顧客に対する提案やサポートの質が上がり、結果として商品やサービスの品質向上につながるのです。顧客や従業員に快適な体験を提供することで、企業イメージの改善も目指せます。また、企業と従業員が良好な関係を築ければ仕事への意欲が高まり、生産性の向上や離職率の低下が期待できます。
トータルエクスペリエンス(TX)を構成する4つの要素
ここでは、トータルエクスペリエンスを構成する4つの要素について詳しく見ていきましょう。
ユーザーエクスペリエンス(UX)
ユーザーエクスペリエンスは、商品やサービスを使用したときの体験を指します。例えばECサイトなら、次のようなポイントが含まれます。
- サイトのデザインや見やすさ
- 商品やサービスに関する情報量
- 検索機能の使いやすさ
- 購入までにかかる手間や時間
- 商品が発送されるまでの時間
このような商品やサービスを使ううえでの体験が改善されれば、ユーザーの満足度や売上、リピート率などの向上が目指せます。
カスタマーエクスペリエンス(CX)
カスタマーエクスペリエンスは、商品やサービスを認知してから利用後のサポートまで、顧客に提供するすべての体験のことです。商品やサービスそのものの使用感はもちろん、購入前の提案や問い合わせ対応、購入後のアフターサポートなど、あらゆるものが対象です。商品自体には満足していても、接客時の従業員の態度が悪かったり、問い合わせをしたのに適切な回答が得られなかったりすると、快適なカスタマーエクスペリエンスを提供できているとはいえません。
エンプロイーエクスペリエンス(EX)
エンプロイーエクスペリエンスは、働くうえで従業員が得る体験のことです。例えば、次のような要素が該当します。
- 職場での人間関係
- 機器やシステムの使いやすさ
- 労働時間
- 職場の衛生環境
- 人事評価
これらは仕事への意欲に直結する要素であり、エンプロイーエクスペリエンスの向上は生産性や離職率を左右します。従業員のモチベーションが高いとサービス品質の向上につながり、UXやCXにも影響を与えるため、無視できない要素です。
マルチエクスペリエンス(MX)
マルチエクスペリエンスは、顧客に提供するさまざまなデジタル体験のことです。多くの企業が採用しているWebサイトやスマートフォン用アプリに加え、AIチャットボット、VR、ARなども該当します。マルチエクスペリエンスの具体例としては、次のようなものがあります。
- スマートフォンを使ったモバイルオーダー
- ARを使った家具や家電などの配置シミュレーション
- 自宅にいながら試着ができるバーチャルフィッテング
これまでにない革新的なデジタル体験を提供することで、マルチエクスペリエンスを大幅に向上させられる可能性があります。
DXで「トータルエクスペリエンス(TX)」を向上させるには
DXによってトータルエクスペリエンスの向上を図るには、次の2点を意識しましょう。
- デジタル技術による解決を図る
- 4つの要素にバランスよく取り組む
それぞれのポイントについて、以下で解説します。
デジタル技術による解決を図る
DXは、デジタル技術を活用して業務の効率化やビジネスの革新を図る取り組みです。トータルエクスペリエンスの要素としてエンプロイーエクスペリエンスやマルチエクスペリエンスが含まれていることもあり、業務の効率化やデジタル体験の実現につながるDXの取り組みは欠かせません。企業が抱える課題を洗い出したら、まずツールやシステムの導入によって解決できる部分がないか検討してみてください。このとき、顧客や従業員など関係者全員の体験を改善できないか網羅的に検討することが大切です。
関連記事:「DXとは 実現に向けて企業が抱える課題や必要なステップを解説」
4つの要素にバランスよく取り組む
トータルエクスペリエンスにおいて重要なのは、4つの要素をリンクさせることです。例えばユーザーエクスペリエンスの改善を図る際であっても、従業員に過度な負担がかかる施策は適していません。従業員のモチベーションが下がり、サービス品質に影響が出る可能性があるためです。企業の長期的な成長を目指すには、4つの要素すべてに着目し、企業に関わるすべての人の体験を向上させる姿勢が求められます。つい顧客体験を重視してしまいがちですが、4つの要素にバランスよく取り組むことを意識しましょう。
最後に
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