「2025年の崖」とは、業務システムに関する課題を解消できなければ2025年以降に大きな経済損失が生じる可能性を指摘したものです。本記事では、2025年の崖の具体的な課題とDXでの対処法について詳しく解説します。
- この記事でわかること
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- 「2025年の崖」の概要
- 「2025年の崖」で指摘されている具体的な課題
- DXで「2025年の崖」に対処する方法
読了目安:7分
日本企業がDXを推進するうえで、経済産業省が指摘する「2025年の崖」への対処は欠かせません。2025年の崖では多くの日本企業が抱える課題が指摘されているため、自社に当てはまるものがないか確認しておきましょう。本記事では、2025年の崖の概要と具体的な5つの課題について解説します。DXで2025年の崖に対処する方法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
「2025年の崖」とは|DXの重要テーマ
「2025年の崖」とは、経済産業省が公表した「DXレポート」のなかで指摘されている問題です。DXの必要性に対する日本企業の意識は高まっているものの、ビジネスの現場ではDX推進の妨げとなるさまざまな課題が存在します。この課題を解消できなければDXを実現できないだけでなく、2025年以降に最大で12兆円/年の経済損失が生じる可能性があると指摘されており、これを「2025年の崖」と呼んでいるのです。DXを推進して2025年の崖に陥らないようにするには、後述する日本企業が抱える課題の解消に取り組まなければなりません。
関連記事:「DXとは 実現に向けて企業が抱える課題や必要なステップを解説」
「2025年の崖」における具体的な課題
2025年の崖を回避するために解消すべき具体的な課題としては、主に次の5つが挙げられます。
- 既存システムの老朽化・ブラックボックス化
- 既存システムの保守・運用コストの増大
- デジタル戦略の不明確さ
- IT人材の不足
- ベンダー企業への依存
これらの課題について、以下で詳しく見ていきましょう。
既存システムの老朽化・ブラックボックス化
日本企業では、部門ごとに業務システムが構築されていたり過剰なカスタマイズがされていたりするケースが多く、既存システムの複雑化・ブラックボックス化が大きな課題となっています。このようなシステムは新しいものに切り替えることが難しく、老朽化が進んでいるのも問題です。業務システムの乱立は全社横断的なデータ活用を阻む要因となり、DXを思うように進められません。古いシステムを使い続けるのは、デジタル化による業務改革の妨げにもなります。
既存システムの保守・運用コストの増大
部門ごとに構築されたシステムは全体最適が考慮されていないため、保守・運用にかかるコストの増大という課題も抱えています。DXレポートでは、既存システムの維持管理費の高額化が進んでおり、その金額はIT予算の9割以上にのぼっていると指摘されています。既存システムの保守・運用に多くのコストがかかると、DX推進に十分な予算を確保できません。これも、2025年の崖を引き起こす要因として指摘されている課題の1つです。
デジタル戦略の不明確さ
DXの必要性について経営層が理解できていないなど、デジタル活用に対する危機意識の欠如についても指摘されています。このような状態では明確なデジタル戦略を持つことが難しく、最適な施策を検討できません。また、経営層が自社の課題を理解し、DXを強く推進していく姿勢がなければ、現場からの抵抗を抑えられずDXの推進は困難になります。
IT人材の不足
日本では少子高齢化が進んでおり、業界を問わず人手不足が深刻化しています。DX推進にはIT人材が欠かせませんが、「社内に具体的な施策を検討できる人材がいない」「社内のIT人材の多くが既存システムの保守・運用に回っている」といった課題を抱える企業も少なくありません。経営層が自社の課題を認識し、明確なデジタル戦略を立案できたとしても、それを推進する人材がいなければ計画は頓挫してしまいます。
関連記事:「DX推進の必要性と求められるスキル デジタル人材を育成・確保する方法も解説」
ベンダー企業への依存
システムの構築や保守・運用をベンダー企業に依存しており、自社のシステムでありながら仕様を十分に理解できていないという企業も多く存在します。このような状態では、課題の把握や解決策の立案ができません。また、同じシステムを長く使い続けていると「構築当時の担当者が全員退職してしまい、詳しい仕様を把握している人がいない」といったケースも見られます。DXでは既存システムの課題の把握が欠かせないため、ベンダー企業への依存度が高いほど社内での取り組みが難しくなります。
DXで「2025年の崖」に対処するには
DXを推進して2025年の崖に対処するには、次のような取り組みが必要です。
- 現状把握と課題の特定
- 経営戦略への落とし込み
- DX人材の育成・確保
- 自走できる体制の構築
それぞれのポイントについて、以下で解説します。
現状把握と課題の特定
まずは、先ほどご紹介した具体的な課題のうち、自社が直面しているものを洗い出しましょう。自社が抱える課題を把握しなければ、具体的な対処法も検討できません。企業ごとに抱える課題は異なるため、IT担当者やベンダーも巻き込みながら、自社がどのような課題を抱えているのかを明らかにすることが大切です。
経営戦略への落とし込み
自社が抱える課題を特定したら、具体的な経営戦略に落とし込んでいきます。「既存システムの課題を解消できるクラウドサービスに乗り換える」「業務フローを刷新して全く新しいシステムを構築する」など、課題の内容と予算を踏まえて最適な施策を検討します。経営戦略を明確にしたら、会社全体で推進していくことが大切です。システムや業務フローの変更には現場の理解と協力が欠かせないため、DXの目的や期待される効果を全社で共有し、一体感を持って推進する必要があります。
DX人材の育成・確保
「すでにDX推進に必要な人材が社内に揃っている」という企業は少ないでしょう。そのため、DX人材の育成・確保も重要な施策の1つです。DX人材を確保するには、「既存人材の育成」と「新たな人材の採用」という2つの方法があります。しかし、既存人材の育成にはある程度の時間が必要である一方、人手不足で採用も思うように進まないといった課題にぶつかる企業が少なくありません。このような場合は、外部コンサルタントの起用も検討してみましょう。コストはかかるものの、即戦力人材の協力をすぐに得られるのがメリットです。
自走できる体制の構築
2025年の崖の課題として、「ベンダー企業への依存」を挙げました。同じ問題を繰り返さないため、DX推進においては自走できる体制の構築も求められます。自社のシステムを継続的に改善できるよう、ベンダーに丸投げするのではなく自社主体で取り組みを進めることが大切です。DXの推進を通して、自社にスキルやノウハウが蓄積するような体制を構築しておきましょう。
最後に
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