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【マーケティング事例】一貫性のあるブランド価値を提供するためのコミュニケーション設計方法とは?

 

オンラインでの情報収集や購買行動が浸透した現代では、リアルの場やデジタル上関係なく一貫した顧客体験を設計することが求められます。今回は、分裂しがちなオンラインとオフラインの施策を融合し、全購買行動をつなぐコミュニケーション設計のポイント、また成功に必要なポイントを紹介します。

目次

課題

ブランドの提供価値とコミュニケーションフローとのギャップ

ソフトウェアブランドがこのマーケティングプロモーションで注力している商材は、パソコンです。近年はスタイリッシュなデザインやカラーバリエーションで競争力を高めているものの、軽量・コンパクトといった機能にフォーカスされた強烈なブランドイメージが逆に仇となり、スタイルを重視している層が見たときに検討対象に入りづらいことが課題でした。

従来奏功してきたオンラインマーケティング施策はブランド指名が主体で、ターゲットとのファーストコンタクトすらままなりません。新たなブランド価値に見合うターゲットとのコミュニケーションには、小売店舗での購入や、購入後の生活におけるユーザー体験を含めて生活者視点でブランド価値を再定義し、新たなコミュニケーションを構築する必要がありました。

提案

私たちVENECTは、ターゲットのニーズを描き出すためのインサイトリサーチ、ターゲットが “自分ごと” としてパソコンを捉えるため、ブランド価値の再定義、チャネルパートナーとの連携によるオンラインとオフラインを通じた生活者との出会いから購買。そして利用シーンまで、カスタマージャーニーに沿った一連のマーケティングプロモーションを提案しました。

ターゲットにとっての価値を再定義

クライアントは、全タッチポイントを通じた一貫性あるブランド体験が不可欠と考えた私たちVENECTの提案により、組織やオンライン・オフラインの垣根を超え、2018年から生活者との重要なタッチポイントである小売店を交えたマーケティング体制を築いています。日常的にブランドの認知度を向上させること、そして生活者にとって最適なタイミングでのスムーズな購買体験といったデジタルマーケティングの基本方針に則ってリアルデータに基づく中長期的な顧客体験マーケティングを実践し、成果をあげてきました。
しかし、このプロモーションが伝えるべきは、スタイリッシュという新たなブランド価値。伝える先は、競合ユーザーを含む、ブランドにとっての未開拓市場です。高機能だけじゃなく、カッコいいから――スタイル重視市場で支持されるには生活者が「自分ごと」としてスタイリッシュというブランド選択動機を抱くカスタマージャーニーが必要だと、私たちは考えました。そこで(注1)STPの原点に戻り、まずはVENECTメソッドでターゲットインサイトを徹底リサーチ。スタイル重視市場におけるパソコンのユーザー価値を突き詰めていき、ファッションやトレンド、ニューテックにおいてに関心の高い20-30代の「スタイリッシュなデジタルライフ」という自分ごとニーズを描き出しました。

スタイリッシュなデジタルライフという自分ごとニーズへ応えるために伝えるべきブランド価値は、「自身のスタイルを確立する」「スタイリッシュなデジタルライフを生む」ための相棒としてのパソコンです。生活者が自らの意思でブランドと出会い生活のなかで最高の体験を叶えるパーセプション・マップ、そしてパーセプションレベルごとのメッセージやしかけを創造していきました。

(注1)STP:セグメンテーション(市場細分化)、ターゲティング(標的市場の決定)、ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)の3つの頭文字をとった分析法のこと

顧客中心のタッチポイント設計

自分ごとニーズにおいては、機能や価格以上に相棒としての愛着が求められるため、認知から興味・関心、比較検討、来店、購買そして利用シーンまで、タッチポイントもユーザーに寄り添って再設計する必要があります。そこで私たちは、ファーストコンタクトづくりとして、デジタル施策(SEMやSNSなどのタッチポイント、タイアップメディア)の活用を提案。パソコンがほしいとは限らないけれどスタイリッシュなデジタルライフを望むコンシューマーの意思を行動の起点におくため、あえて紙媒体を含むファッション&ライフスタイル系メディアを選択し、メディアごとの特性に合わせたクリエイティブで「×テック」のクールさを訴求しました。

SNSやインフルエンサー投稿も駆使しながら誘導した生活者を迎えるランディングページは、ユーザーを主役としたクリエイティブ。パソコンはあくまでデジタルライフの相棒として訴求しました。スタイリッシュなライフシーンに溶け込むプロダクトのカッコよさを前面に出しつつ、店頭へ足を運ぶきっかけとなるオリジナルステッカーや小冊子のプレゼントなどの企画も組み込み、店舗への誘導を促しました。あえて店舗というタッチポイントを選んだのは、利用シーンにおいてもずっと自慢できるユーザー体験を創出するためでもあります。最初の接点であるファッション&ライススタイルメディアと一貫した店頭クリエイティブと接客を通じ、生活者自身の意思に基づく自分が主役のブランドコミュニケーションを図りました。

成果

オンラインとオフラインの垣根を超え、生活者にとっての良いブランド体験を軸にした総合的なコミュニケーション設計をした施策の結果、ターゲットから想定を超える反応を獲得。ファッション&ライフスタイル系メディアへのテック商材出稿は期待薄とされる通説を覆しました。ブランドとパートナーの両者が、計画を上回る成果を残しています。

ブランドにとって売上以上の成果は、デザインを購入意向の理由にあげる生活者の急増です。軽量・コンパクトなどの機能や性能を超えた評価は、スタイリッシュなデジタルライフの相棒として、新たなターゲットからブランドが選ばれる道筋を示しました。
プロモーションの各施策と施策ごとの結果をリアルデータという共通言語で振り返る報告書は、計画通り成果をもたらした施策の評価以上に、ラーニングを重視します。期待ROIを下回るメディアやSNS、購買行動を妨げうるクリエイティブやコンテンツ、接客やタッチポイント設計といったローライトを可視化し共有することによって、ブランドとパートナー、VENECTは、次なる施策へ向けた建設的な議論に集中しています。長らくブランドが誇ってきた機能や性能に加え、スタイリッシュブランドとして競争優位の源泉を創出したクライアント。プロモーションを通じて証明された市場の創造力は、プロダクトのイノベーションを確かな成果に昇華する、ブランドの新たな資産です。

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