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STP分析を有効活用しビジネス成長につなげるためのポイントとは?

この記事でわかること
  • STP分析時に起きる課題と解決方法
  • STP分析を活用した弊社の事例

読了目安:7分

マーケティング戦略を考える際に、狙うべき市場と方法を思考するために活用するフレームワークとして「STP分析」があります。
STP分析を行うことで、「誰に、いつ、どこで、どう」ブランドのメッセージを伝えるべきかを定義付けることができ、根拠のあるコミュニケーション設計を可能とします。
デジタルを活用したマーケティング活動が浸透した近年、ターゲティングの精度が高まり、セグメントやターゲットを考える場面も多いと思います。今回はSTP分析時に起きる課題や解決方法、そして活用方法まで弊社の事例を交えながらご紹介します。

目次

STP分析の課題

STP分析についてインターネットや書籍で調べると多くの情報が出てきますが、いざ設計や活用するとき以下のような課題はありませんか?

1.セグメント、ターゲットを絞りすぎてしまい、市場規模が非常に小さくなってしまう
2.老若男女が使う商品のためターゲットをオールターゲットと設定し、各世代や性別に合わせたコミュニケーションが図れていない
3.生活者のニーズをSTPに反映できておらず、ブランドが伝えたいことを一方通行に発信している状態

これらの課題を解決するため、次では設計の具体的なポイントを紹介していきます。

設計時におさえる4つのポイント

STP分析する際の課題を解決するために、4つのポイントを抑えてください。

ポイント1:【セグメント】
セグメンテーションを設計する際は、必ずデモグラフィックとサイコグラフィックをかけ合わせた設計をする

セグメンテーションの目的は、似たニーズを持っている顧客層を分け、「誰が」「なぜ」商品を買うのかを明らかにしていくことです。基本的に以下4つの軸でセグメンテーションを考えていきます。

この軸の使い方は、どこか一つに絞って考えるのではなく、デモグラフィックやジオグラフィック(具体的な属性や居住地の情報)と、サイコグラフィックの情報から「なぜ」商品を必要としているのか、購入するのかを掛け合わせ、セグメンテーションを設計していくこと。これらを掛け合わせたセグメンテーションが生活者の目線にあわせたコミュニケーション設計の第一歩となります。

ポイント2:【ターゲット】
ブランドの長期的な成長に貢献できそうなポテンシャルの高いターゲットを選択する

ターゲット設計の目的は、細分化された市場の中から、自社が狙うべきターゲット層を絞ることです。狙うべきターゲットを考えるためには以下の3点を抑える必要があります。

1. ビジネスゴールを達成するために必要なビジネスボリュームが存在するか
2. 自社ブランドの企業理念やポリシーとマッチするセグメントはどこか
3. 自社ブランドの潜在的な見込み顧客がいるセグメントはどこか

ここでターゲティングすべきセグメントは自社ブランドの売上に長期的に貢献できるポテンシャルの高い層を選択しましょう。

ポイント3:【ポジション】
今後ブランドをどのように成長させていくかの決定

ポジショニングの目的は、セグメント内の競合サービスや商品と比較をして、自社ブランドの立ち位置を可視化することです。対象となる商品、サービスの特徴から軸を定め、生活者にとって自社と競合の位置づけ、競合との違いを明らかにしてきます。ブランドの在り方を俯瞰的に分析を行い、今後の自社ブランドをどの立ち位置に変化させていくかを決めていきましょう。

ポイント4:
セグメント、ターゲット、ポジショニングを分断して考えずに、往復して考える

セグメンテーションやターゲティングを設計していく際、最初から購入意欲のある顕在層だけに絞ってしまう事象を多く見受けます。顕在層のみで考えていくと、市場規模が非常に小さくなり長期的なブランド成長につなげることが難しくなります。
STPを設定するには、セグメントとターゲット、ポジショニングを往復して考え、ブランドが掲げているビジネスゴールに対して、適切なビジネスボリュームが存在するかを把握することが重要です。 そして潜在層が認知から購入、そしてブランドのファンになるまでのコミュニケーションへとつなげていくことがポイントとなります。

ここからは実際にSTP分析をした後、どのようにマーケティング活動に活用していくか、事例を交えてご紹介します。

飲料メーカーの競合差別化事例

ブランドが抱えていた課題として、市場のコモディティ化が進み、競合商品との差別化がしにくくなっているという課題がありました。一つの市場において、競合の商品数が増えたことでブランドが弱体化してしまい、ブランドスイッチがいつでも起きやすい状態でした。この課題に対してVENECTでは顧客目線でのマーケティング戦略設計を行い、競合との差別化を計りブランドへの共感を高めるため、リサーチからSTP分析を実行、そしてその結果を用いた施策の提案をしました。分析、施策設計にて実行したことは4つです。

1.生活者が抱えているニーズを汲み取るためのリサーチ 
 ・ 対象の飲料カテゴリーに対して生活者が求めている機能と情緒について
 ・ どのような立場の人たちが購入しているのか(※ 母親、夫婦など)
 ・ 生活者目線からみたときのブランドの優位性は何か
 (ブランド側が考えている優位性と生活者の考えで齟齬が生まれていないか)

2.リサーチから見えた市場ボリュームを導きだし、セグメンテーションの設計
対象の飲料カテゴリーの支出額統計を確認すると、92.4%が二人以上世帯であることが明らかになり、よりビジネスボリュームとして大きい2人以上世帯の女性をセグメントと設定しました。そのセグメントを更に細分化し、家族構成に分けて設計を行いました。

3.長期的に企業に成長が見込みる市場をターゲティング
過去に行った施策の結果データをもとに、ターゲットボリュームを推計し、ビジネスゴール達成のために必要なボリューム、かつ長期的なコミュニケーションを図れる層を確定していきました。

4.現状のブランドの立ち位置、今後の方向性をポジショニングで確立
生活者のインサイトリサーチから明らかになったブランドの優位性、競合と比較したときの立ち位置をもとに、今後ブランドがどのような付加価値を市場に提示するかを設計していきました。

ここまで立てたSTPで、ブランドが「誰に、いつ、どこで、どのように」メッセージを発信していくかの土台ができたので、各施策のクリエイティブ開発やメディア設計に活用しました。

最後に

生活者がブランドに対して “体験” を求めている現代では、ブランドへの共感を高めるため、また価値を届けていくために、ブランドがどこで、どのように戦っていくかを可視化し、チーム内で共通認識を持つことができるSTP分析が肝になってきます。
ブランドの長期的な成長につなげるために、セグメントやターゲットのボリューム、生活者から見えているブランドの姿をSTPに組み込み、マーケティング活動に活用してみてください。
設計でお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。

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