Update : 2024.6.3

DX推進計画の立て方を5ステップで解説
プロジェクト成功のポイントとは

DX（デジタルトランスフォーメーション）を推進するためには、計画的なアプローチが不可欠です。本記事では、DX推進計画を立てるための5つのステップとプロジェクト成功のポイントを解説します。

この記事でわかること

DX推進における「計画」の重要性
DX推進計画の具体的な立て方
DXプロジェクト成功のポイント

読了目安：7分

DX（デジタルトランスフォーメーション）を推進するためには、計画的なアプローチが不可欠です。本記事では、DX推進計画を立てるための5つのステップとプロジェクト成功のポイントを解説します。DXに関心のある経営者や企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

DX推進において「計画」が重要な理由
DX推進計画の立て方
DXプロジェクト成功のポイントとは
最後に

DX推進において「計画」が重要な理由

DX推進において「計画」が重要な理由は、部分的な業務の効率化ではなく、社内全体の状況を把握し、ビジネスにどのような変革をもたらすかを長期的な目線で考える必要があるためです。DXは単なるシステムやツールの導入ではなく、業務プロセスやビジネスモデルに変革をもたらすものです。事前に計画を練り上げることで、目標達成に向けて必要なステップやリソースが明確になり、効率的かつ効果的なDX推進が可能となります。また、プロジェクトの計画を立てたうえで具体的に必要なアクションを共有すれば、各社員のDXに対する理解が深まり、企業全体が一丸となって取り組みを推進できるでしょう。

関連記事：「DXとは実現に向けて企業が抱える課題や必要なステップを解説」

DX推進計画の立て方

DX推進計画の立て方について、ここでは以下5つのステップをご紹介します。

DXの目的を明確にする
現状を把握する
テクノロジーを選定する
必要なリソースを確保する
数値計画に落とし込む

DXの目的を明確にする

まず、DXによって何を実現したいのかを整理することが重要です。業務の効率化はもちろん、新たなビジネスモデルの構築や顧客体験の向上など、単なるIT化に留まらないDXならではの目的を設定しましょう。企業としてのビジョンを明確にし、経営層から社内に向けて発信する必要があります。DXの目的が曖昧なままでは、プロジェクトの進行中に方向性がブレてしまい、期待した成果につながらない可能性もあります。目的を明確にすることで、ビジョンの実現に向けて組織全体が共通理解を持ち、優先度を高めた状態でプロジェクトを推進できるようになるでしょう。

関連記事：「企業がDXを推進する目的とは？具体的な実践事例も解説」

現状を把握する

DX推進の目的が定まったら、既存システムの運用状況や課題を把握します。現行の業務プロセスやシステムの強み・弱みを洗い出し、DXプロジェクトで解決すべき課題を設定します。現状の把握はDX推進の第一歩であり、適切な計画を立てるためには不可欠です。業務プロセスやビジネスモデルの現状を正確に把握することで、具体的な改善点や導入すべきテクノロジーが見えてきます。また、DX推進に必要なリソースやスキルセットが明確になり、より現実的かつ効果的な計画を立てることにもつながります。

テクノロジーを選定する

現状を把握し、解決すべき課題を特定できたら、導入すべきシステムやツールを選定します。テクノロジーの選定は、DXの成果を左右する重要なステップです。適切なテクノロジーを選定することで、業務プロセスの効率化や新たなビジネスモデルの構築が可能になります。例えば、将来を見据えて多様な顧客データを収集できるよう仕組み化しておけば、データ分析によって新たなビジネスのヒントが見えてくるかもしれません。長期的な視点で導入するテクノロジーを選びましょう。

必要なリソースを確保する

テクノロジーの導入やその活用に向けて必要な人的・金銭的リソースを確保します。新たなシステムやツールを導入するためには、専用のチームや予算はもちろん、従業員のトレーニングも必要になるでしょう。リソースの確保は、DXプロジェクトの成否を分ける重要なステップです。適切なリソースが確保されていない場合、計画が遅れたり期待した成果が出なかったりする可能性があります。内部にDX領域のスペシャリストがいない場合は、外部の企業や人材を活用するといった検討も必要になるでしょう。

数値計画に落とし込む

コストカットやビジネスの拡大など、DXによって期待できる効果を数値に落とし込みます。具体的な数値として提示することで、DX推進のメリットや効果を客観的に把握でき、関係者の理解も得やすくなるでしょう。また、具体的な数値目標を設定することは、社員のモチベーション向上にもつながります。DX推進によってよりよい働き方が可能になるのであれば、積極的に協力しようという社員も増えてくるはずです。

DXプロジェクト成功のポイントとは

DXプロジェクトを成功させるためには、以下3つのポイントを押さえておきましょう。

経営層がコミットする
DX人材を確保する
適切なマイルストーンを設定する

経営層がコミットする

DXを成功に導くには、経営層によるコミットが欠かせません。経営層がDXのビジョンを明確に示し、その重要性を繰り返し伝えることで、組織全体が一丸となってプロジェクトに取り組めます。社内にはDX以外にも既存の業務やその他のプロジェクトがあり、場合によってはDXの推進によってそれらに遅れが生じるケースもあるでしょう。その際、DXの優先度の高さがクリアになっていなければ、各担当者はDX以外の業務を優先してしまうかもしれません。また、経営者自身がDX関連の投資や対応を後回しにしてしまう場合もあります。経営層が自らDXの優先度を上げ、コミットしていく姿勢がプロジェクトの成功には不可欠です。

DX人材を確保する

DX推進に必要な人材を確保することも大切です。既存社員の活用や育成だけで難しい場合は、外部人材の活用やDXを得意とするコンサルティング会社の起用なども検討していく必要があります。ただIT領域に詳しいだけでなく、DXに特化した人材がいることで、プロジェクト推進のスピードと質が向上します。既存社員だけでは考えつかなかった方法で顧客のデータを収集・活用し、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もあるでしょう。

適切なマイルストーンを設定する

DXが生み出す効果には、短期的なものも長期的なものもあります。メリットを最大限に引き出すためには、プロジェクトの各段階に適切なマイルストーンを設定するのが効果的です。業務効率化によるコストカットをいつまでにどの程度生み出すのか、いつ頃から新たに取得したデータの活用を開始し、ビジネスチャンスの拡大につなげるのかなど、具体的な時期と内容を決めていきます。適切なマイルストーンを設定することで、DXプロジェクトの進行状況を客観的に評価し、必要な調整を行えるようになります。ただシステムやツールを導入するだけで満足せず、業務の効率化やビジネスモデルの変革といったDX本来の目的を達成することが大切です。