PMBOKはプロジェクトマネジメントの手法を体系的にまとめたもので、世界中で活用されています。本記事では、PMBOKの概要や活用するメリット、PMBOKで定義されている知識エリアと実行プロセスについて解説します。
- この記事でわかること
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- PMBOKの概要
- PMBOKの知識エリア
- PMBOKの実行プロセス
読了目安:8分
「PMBOK」とは、プロジェクトマネジメントの知識やノウハウをまとめた教科書のようなものです。プロジェクトの規模や内容に関わらず役立つものであることから、世界中で活用されています。本記事ではPMBOKの概要と、PMBOKで定義されている10の知識エリアと5つの実行プロセスについて解説します。これからプロジェクトを開始するという方や、プロジェクトマネジメントに課題を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
プロジェクトマネジメント手法の「PMBOK」とは
「PMBOK」とは、プロジェクトマネジメントに関する知識やノウハウをまとめたものです。はじめに、PMBOKについて以下のポイントを押さえておきましょう。
- PMBOKとは
- PMBOK活用のメリット
- PMBOK活用の注意点
PMBOKとは
プロジェクトの内容は新規事業の立ち上げやシステム開発などさまざまですが、どのようなものでも工程やスケジュールを管理する「プロジェクトマネジメント」は欠かせません。PMBOKは「Project Management Body Knowledge」の略で、プロジェクトマネジメントを行ううえで必要な知識やノウハウを体系化してまとめたものです。アメリカの非営利団体であるPMIが作成しており、初版は1987年に発表されました。現在も数年に一度のペースで改定されており、世界的に活用されています。
関連記事:「PM(プロジェクトマネジメント)とは?成功のポイントや有効な手法を解説」
PMBOK活用のメリット
PMBOKを活用すると、プロジェクトにおいて重要な品質・コスト・納期(QCD)を管理しやすくなるのが大きなメリットです。プロジェクトマネジメントについて体系的にまとまったPMBOKの考え方を取り入れることで、目標達成に向けて必要な取り組みを効率的に進められるようになります。QCDだけでなく、プロセスを細かくコントロールできる点もメリットです。PMBOKではプロジェクトを5つのプロセスに分類しており、ゴールに至るまでのプロセス管理に役立ちます。
PMBOK活用の注意点
PMBOKを活用する際の注意点は、想定外の事態などに対応しづらいことです。プロジェクトマネジメントの知識やノウハウを標準化しているため、プロジェクト固有の事情や想定していないトラブルへの対応には向いていません。また、PMBOKを参考にプロジェクトを進めることは可能ではあるものの、上記のようなトラブルなど臨機応変な対応が求められるケースもあり、結局はマネジメントスキルを持った人材が必要になります。「PMBOKさえあればプロジェクトマネージャーは重要ではない」というものではありません。
関連記事:「プロジェクトマネージャー(PM)のあり方とは 外部人材を活用するメリット・コツも解説」
PMBOKの知識エリア
PMBOKでは、プロジェクトマネジメントに求められる知識を以下の10のエリアに分類しています。
- 統合マネジメント
- スコープ・マネジメント
- スケジュール・マネジメント
- コスト・マネジメント
- 品質マネジメント
- 資源マネジメント
- コミュニケーション・マネジメント
- リスク・マネジメント
- 調達マネジメント
- ステークホルダー・マネジメント
それぞれの知識エリアについて、以下で解説します。
統合マネジメント
統合マネジメントは、ほかの9つの知識エリアと実行プロセスを統合して管理するものです。管理計画書の作成や実行の指揮、プロジェクトの終結などを含め、プロジェクト全体を把握・管理する役割を持っています。
スコープ・マネジメント
スコープ・マネジメントは、目標達成に必要な工程やタスク、成果物などを明確化する役割を持っています。具体的な作業としては、WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)の作成や要求事項の洗い出しなどが挙げられます。
スケジュール・マネジメント
スケジュール・マネジメントは、納期を管理するための知識エリアです。明らかになった工程やタスクについてそれぞれの所要時間や順番を整理し、具体的なスケジュールを立てるという役割があります。
コスト・マネジメント
コスト・マネジメントは、費用を管理するための知識エリアです。プロジェクトを予算内で完了させられるよう、費用の見積もりや資金確保、各種コストのコントロールなどを担います。
品質マネジメント
品質マネジメントは、成果物の品質を管理するための知識エリアです。要求事項などから求められる品質の基準を明確にし、それを満たすための実行計画を立てたり品質チェックを実施したりします。
資源マネジメント
資源マネジメントは、プロジェクトを進めるために必要な人材や物資を調達・管理するためのものです。各チームの編成や人材確保に加え、物資が適切に使用されているかのチェックなどを行います。
コミュニケーション・マネジメント
コミュニケーション・マネジメントは、プロジェクト内で円滑なコミュニケーションが行われるよう管理するものです。関係者同士が適切にコミュニケーションをとれるよう、情報伝達方法の検討や文書の作成・配布などを行います。
リスク・マネジメント
リスク・マネジメントは、プロジェクト計画に影響を与える可能性のある要素と原因を洗い出し、対策を検討するための知識エリアです。リスクごとに発生確率や優先度を明確にし、監視やコントロールを行います。
調達マネジメント
調達マネジメントは、プロジェクトに必要なサービスや製品、人員などを外部から調達する際に必要な知識エリアです。外部からの調達に必要な契約の管理や、調達する人材・物資の選定、検収などを行います。
ステークホルダー・マネジメント
ステークホルダー・マネジメントは、ステークホルダーと良好な関係を築き、幅広い層から協力を得るための知識エリアです。近年、ステークホルダーの幅が広がったことでコミュニケーション・マネジメントから独立して設けられました。
PMBOKの実行プロセス
PMBOKでは、プロジェクトの開始から終了までを以下5つの実行プロセスに分類しています。
- 立ち上げ
- 計画
- 実行
- 監視・コントロール
- 終結
それぞれの実行プロセスについて、詳しく解説します。
立ち上げ
「立ち上げ」は、プロジェクトを開始するために必要な情報収集やステークホルダーの明確化などを行うプロセスです。加えて、プロジェクトのゴールや目的、予算、スケジュールなどをまとめた「プロジェクト憲章」も作成します。
計画
「計画」は、プロジェクトを遂行するために必要な作業計画を作成するプロセスです。先ほど紹介した10の知識エリアのすべてにおいて計画が必要で、このプロセスではスケジュールや予算、資源などあらゆる要素について計画を立てなければなりません。
実行
「実行」は、計画プロセスで決めた内容に基づいて取り組みを実行していくプロセスです。例えば、統合マネジメントでは全体の指揮・管理、コミュニケーション・マネジメントでは情報共有など、各知識エリアで必要な対応がとられます。
監視・コントロール
「監視・コントロール」は、プロジェクトを進めるなかで計画とのズレが発生していないか確認し、必要に応じて軌道修正を行うプロセスです。「想定外のコストが発生していないか」「品質が保てているか」など、各知識エリアに基づいた確認が必要です。
終結
「終結」は、これまでのプロセスが完了しているかどうかを検証し、プロジェクトを終了させる段階です。各プロセスで得られた情報や経験をまとめ、次のプロジェクトに活かすための準備も行います。
最後に
マーケティング活動において戦略から実行までには、プロジェクトが多岐に渡るためプロジェクトマネジメントが求められます。戦略立案〜実行支援まで一気通貫でVENECTでの対応が可能です。以下のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
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